ワンランク上を目指すビジネスパーソンのための1UPコラム

トップぺージ > 1UPコラム > 決算書の読み方[3](利益とキャッシュの関係)

1UPコラム

決算書の読み方[3](利益とキャッシュの関係)2017/06/29

view 3569
決算書の読み方[3](利益とキャッシュの関係)


利益が出ていても、資金繰りは厳しい?

 仕事で決算のお話をしていると、「利益は出ているけれど、資金繰りが厳しいです」と、
いう話を伺うことが、よくあります。
「資金繰り」とは、資金の入出金を管理して、過不足がないようにすることをいい、事業を円滑に進めるためには不可欠なものです。例えば借入金の返済予定日の前に、預金残高が不足していれば、返済ができなくなってしまいます(資金のショート)。
素直に考えると、利益の増加=キャッシュの増加と考えられますが、実際には違う場合も多いです。
利益が出ているのに、なぜ、資金がないのか?
それは、利益の計算の仕方が、キャッシュの増加とは関係ない方法だからです。前にもご説明したように、BS科目の変動だけでは利益に影響がありません。PL科目(売上、費用)の変動があった場合に、利益が増減します。

BS金額の変動だけの具体例

 BS科目とは、具体的には資産、負債になります。資産、負債の具体的内容は省略しますが、 例えば、

1.借入金の返済 ・・・預金(資産)の減少、借入金(負債)の減少
2.不動産(土地)の購入・・・土地(資産)の増加、預金(資産)の減少
3.設備投資・・・ソフトウェア(資産)の増加、預金(資産)の減少
 ※減価償却費分は、PLとなります。
4.新規借入・・・預金(資産)の増加、借入金(負債)の増加

などです。
上記のような動きは、資金繰りには大きな影響がありますが、利益には関係ありません。BS金額の変動だけになるからです。

預金残高は変わらないのに、利益が変わる場合もあります

 例えば、
  ア 決算期末に未入金の売上・・・売上はPL(損益計算書)科目→利益増加
  イ 決算期末に未払いの修繕費・・・修繕費はPL科目→利益減少

ア は、BSは、売掛金(資産)が増加し、PLで売上→利益が増加します。
イ は、BSには未払金(負債)、PLでは費用なので、利益が減少します。

キャッシュからの決算書の見方

 利益が出ていても、借入金残高が多ければ、利益の大半は、その返済に充てられてしまいます。また、借入金の返済は、利益の減少にはならないので、返済分だけ納税額が
減少することもありません。
なので、冒頭のように、「利益が出ていても資金繰りは厳しい」ということにつながります。
また、利益が出ていても、BSの「売掛金」や「未収入金」が、前期よりも増えている場合は、注意が必要です。なぜ増えているのか、回収のめどは立っているのかなどを
検討することをお勧めします。
売掛金は、PLでは、売上の増加になるので、決算書上の利益は増えますが、現預金にならなければ、不良債権になってしまう可能性が高いのです。
納税や、他の支払をしなくてはいけないのに、預金がない、ということも最悪の場合、あります。売掛金では支払はできません。
一方、BSに「未払金」が前期よりも増えている場合には、その分、預金も前期より増えていなければ、その後の資金繰りが厳しくなるということです。
 
簡単ではありますが、決算書の見方を、おおまかに説明いたしました。
実際の事業をされていく上では、もっと複雑なケースもあると思いますが、BSとPLの考え方に少し馴染んで頂いて、決算書を見たときに、経営のお役に立つことがあれば、うれしく思います。





寺崎 直子
執筆者:寺崎 直子寺崎法律会計事務所 代表 , 東京都 千代田区麹町
昭和63年3月に損害保険会社を退職後、結婚。
平成元年に税理士事務所へパートとして勤務のかたわら、税理士試験の勉強を始める。
平成4年に、最終合格し、平成11年、先代の引退に伴い、お客様を一部引継いで
独立開業して、現在に至る。

主人との2人暮らし。趣味は、バードウォッチング。ですが、なかなか時間がとれません。
そんな時は、我が家のおしゃべりインコ(ヨウム)をウォッチングしています。
出勤するときは、「いってらっしゃい」というので、とても可愛いです。
(かまってあげないと言いませんが・・)
色々面白く、時には怒りながら、一緒に暮らしています。