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今さら聞けない会社の税金の話 2016/03/31

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今さら聞けない会社の税金の話


このたび寄稿の機会を賜りました税理士の福永と申します。どうぞ宜しくお願いします。今回は会社の決算と税務申告についてご説明いたします。基本的な内容ではございますが、お読みいただけますと幸いです。

独立するなら知っておきたい決算の基本の「き」

1.会社の決算とは
決算とは一事業年度における経営成績ならびに財産状態を計算し確定することをいいます。
会社の事業年度は定款において任意の期間とすることができますが、原則として1年を超えることはできません。会社の決算は、貸借対照表や損益計算書などの計算書類(決算書)としてまとめられ、株主総会などの機関において承認を受けることで最終的に確定します。


2.会社の決算と税務申告
(1)会社の決算に係る税金の種類
会社の決算に係る税金は以下のものがあります。会社はそれぞれの税目について申告書を提出する必要があります。

─── 税 目
国 税 法人税、消費税
地方税 都道府県 事業税、住民税
市区町村 住民税

(2)申告期限と納付期限
いずれも原則として決算日後2ヶ月以内です。法人税の申告書は確定した決算に基づくことを前提としています。確定した決算とは、上記のとおり、株主総会などの機関の承認を受けた決算をいいます。よって株主総会日前にうっかり法人税の申告書を提出してしまった場合には、申告書以外の書類として扱われる(申告期限内に確定した決算に基づく申告書が再提出されない場合には無申告と同じ扱いとなる)こともありますので注意しましょう。


3.青色申告とは?
会社が一定の帳簿書類を作成するとともに、納税地を所轄する税務署長の承認をうけたときは、法人税の申告書を青色の申告書により行うことができます(いわゆる青色申告)。青色申告書の提出にあたっては、欠損金の繰越し等の税法上の各種の特典が認められています。


4.申告をさぼったらどうなる?
申告を全くしなかった場合や申告期限を過ぎて申告書を提出した場合には以下の2つのペナルティーが課されることになります。
1つ目は、その申告について納付する税額がある場合には無申告加算税が課されます。無申告加算税は納付をしても会社の損金に算入することはできません。つまり、余分な税負担が課されるうえにその税額は損金に算入できないことから、会社にとって二重のデメリットが生じます。
2つ目は、青色申告の承認の取消しです。申告のなかった事業年度あるいは申告期限を過ぎて提出された申告書に係る事業年度に遡って青色申告の承認が取り消されます。青色申告が取り消されると白色申告として扱われ、青色申告における税務上の各種の特典を利用することができません。なお、青色申告が取り消された場合でも所定の手続きにより青色申告に復帰することができますが、最低でも2事業年度は白色申告となります。


5.納付をさぼったらどうなる?
申告書を期限内に提出しても、申告書に記載した税額が期限内に納付されなかった場合には、納付遅延のペナルティーとして延滞税が課されます。延滞税も損金に算入できないことから、会社にとって二重のデメリットとなるのは上記と同様です。
滞納の状態が続くと後日督促状が届きますが、督促は滞納処分の前提手続きとなるものであり、差押えによる強制徴収手続が開始されると差押えの事実が金融機関や取引先等にも通知されることがあるため、事業継続が困難となる可能性があります。
会社の資金繰りが厳しく一度の納付が難しい場合には、分割して納付するなど納付の意思表示はしておくべきでしょう。


※本記述は税務に関する取り扱いについて簡潔に要約したものであり、記載内容の正確性、完全性を保証するものではありません。税務における詳細な規定や取り扱いについては、専門家に相談されることをお勧めします。本サイトは利用者が被ったいかなる損害について一切の責任および義務を負いません。





福永 俊明
執筆者:福永 俊明税理士
福永俊明税理士事務所 代表

大手金融機関、大手税理士法人勤務を経験し、2012年に税理士事務所を開業。
法人顧問業務、相続・事業承継業務、組織再編コンサルティングなど幅広い分野で専門的サービスを提供しています。

事務所ホームページ:https://www.fukunaga-tax-office.tokyo/

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