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1UPコラム

コンサルタントの使い方~本来の薬も、相手を間違えると劇薬に~ 2016/08/12

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コンサルタントの使い方~本来の薬も、相手を間違えると劇薬に~


「コンサルタントって何者?」
という疑問を一度は持ったことがあるのではないだろうか?
『デジタル大辞典』によれば、「企業経営などについて相談を受け、診断・助言・指導を行うことを職業としている専門家」とある。

ということは、決して安くはないであろう手数料を支払って、自社の経営について他人に相談して、診断・助言・指導を受ける必要が無ければ、全く不必要な存在なのである。言い換えれば、体調不良でなければ医療機関を受診し薬を処方してもらう必要はない、ということである。
残念ながら現実はそうではない。だから様々な分野のコンサルタントという医師が存在しているのだ。

すべての分野に長けたコンサルタントなんてそうそうお目にかからない。何らかの得意分野を有しているのが一般的ではないだろうか。「金だけふんだくって、何もしてくれない!」なんていう批評を耳にすることがあるのだが、それは依頼する相手を間違えているに過ぎない。風邪をひいた人が整形外科を受診した結果、咳止めをもらうべきところで冷湿布をもらうようなものだ。

自分(自社)の信念を貫くことはとても大切なこと。しかし、時にはこれを客観的・俯瞰的に見直し、信念が時代のニーズにマッチしているか確認しないとならないことがある。言わば健康診断もしくは人間ドッグといったところだろうか。その結果「異常なし(現状のまま事業継続)」、「要再検査(事業の見直し・手直しの必要あり)」と確認し、実行することができるのだ。

こうして、コンサルタントと良好な関係を維持し事業を発展させることができるのだが、この「良好な関係」が何らかの理由で崩れた時、それまで「良薬」的存在のコンサルタントは一変して「劇薬」になることがある。彼らは自社の現状だけでなく、事業計画、資産状況、取引先など事業運営に関わる多くの情報を既に得ている。守秘義務契約を結んでいるので大丈夫、なんて考えは甘すぎる。弁護士や税理士などいわゆる「士業」に従事する者は生涯に亘って守秘義務が生じることが弁護士法や税理士法などにより定められているが、こうした法に該当しないコンサルタントの方が絶対的に多いのだ。
もちろん自ら信用を落とすような行為、つまり知り得た情報をおいそれと流出させるようなことはしないだろうが、それらに何らかの細工を加え独自の情報に変わったとき、はたして?

社長・経営者に限った話ではない。企業に属する人も同様であり、ミスマッチのコンサルタントを迎え入れた時の代償は決して小さいものではない。

企業とコンサルタントは医師と患者の如く、適度な距離を保ちつつ良好な関係を維持することが相互に有益なのだと、私自身経営コンサルタントの一人としてここに再認識。





坂井 陽介
執筆者:坂井 陽介グッドフェローズグループCEO
一人社長アドバイザー/経営コンサルタント/ファイナンシャルプランナー

1974年生まれ。大学卒業後、予備校講師を経て25歳でアリコジャパン(現メットライフ生命)の保険代理店を開業。1年目より優績代理店として評価を得る。27歳で事業拡大を目指し学習塾を買収。杜撰な事業計画のため半年で学習塾を閉鎖。この時の負債総額は約3000万円にのぼり、保険代理店事業を二束三文で売却。その後、売却先の保険代理店や不動産仲介会社に勤務し5年で債務を返済。
現在は「一人社長アドバイザー」としてこれまでの成功と失敗に基づき、独立間もない一人ないし少人数で経営する企業・団体のための開業準備支援、事業運営に関する助言、事業計画に関するコンサルティング、経営者専門のファイナンシャルプランナーとして事業計画に沿ったファイナンシャルプランニング等を5年で計260件以上携わる。
趣味は酒宴に参加すること。

【ホームページ】
http://www.g-fellows.biz

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