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「指導」と「パワハラ」のボーダーライン ~トップが果たす責務とは?~2016/07/04

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「指導」と「パワハラ」のボーダーライン 	~トップが果たす責務とは?~


ここ数年、「○○ハラスメント」という言葉を特に耳にする。
小生も職務上、いろいろな企業に直接的または間接的に関わる中で、顔をしかめたくなる事案は少なくない。また、どの企業や集団でも起こりうることであり、「する側」「される側」いずれも「明日は我が身」なのだ。

特に注意したいのは、実力・実績を有しカリスマと呼ばれるようなトップを頂点としたヒエラルキーが確立している集団。企業全体、部署内、社外のグループ、どこでも当てはまる。こうした集団の多くは支配者であるトップのための、提案・反論ができないイエスマンが大多数を占めている。これが企業や集団の風通しを悪化させ、特定の人物に矛を向けた嫌がらせ(ハラスメント)に発展していく。
資本主義経済において、収益を生み出す実力・実績の持ち主から習得すべき技術はしっかり学ぶべきだし、学ぶ者はそれに対して相応の敬意を払う必要はある。同時に教え伝える側は己の技術を学ぼうとする者に対して、威厳と愛情をもって接することでしっかり伝承できるものである。

ここで己の有する術を伝承させようとするトップに勘違いが発生する。往々にして威厳ばかり顕示させ愛情が影をひそめてしまうのだ。中には「威厳こそ愛情」、「厳しさは愛情の裏返し・表れ」とばかりにアプローチしてしまうケースもある。
なぜ自分(トップ)のようにできないのかを重箱の隅を突っつくように追及し、それをレポートにまとめ提出させる。そのレポートが自分の意に沿わないと、なぜそのレポートが書けないのかをさらに追及しこれについてのレポートを提出させる。もしくは過剰なペナルティを与えるケースもある。
以下、これを半永久的に繰り返す。

ここまで来ると「パワハラ(パワーハラスメント)」以外の何物でもない。労使関係が明確な間柄であれば、組合や労働基準監督署に相談することで脱却できる可能性がある。しかし、使用者(経営者・役員)の中でのヒエラルキーによるパワハラの場合はこのような解決方法は不可能ではないがかなり難しい。この国の法律は労働者は保護しても、兼務役員を除く使用者はなかなかその恩恵に預かれないからだ。現状脱却を図り成し得たとしても、そのために心身ともに掛けた負担は大きく再出発までに多くの時間を要した人を小生は何名も見てきた。

「パワハラ」ではなく「指導」をするためにトップはどうすればよいのだろうか?「自分の言うとおりにすれば良いんだ!」という時代ではない。なぜその指示・指導が必要なのかと目的を明確にし、理解・承諾を得ながら展開していくことが求められる。言い換えれば先頭を走り背中で伝える「リーダー(先導者)」ではなく、傍について支える「エスコートランナー(伴走者)」をトップには求められる時代なのだ。

「人財」と思い共に働いた人材が「人罪」に貶められ去って行く。出た者、残った者いずれも気持ちの良いものではない。また、トップは企業や団体にとって「人財」であると同時に、「人罪」にもなりかねない。

ヒエラルキーのトップはまず上位下達を見直し、その企業、集団に応じた立ち位置をしっかり見つける責務があり、これが「パワハラ」脱却のエッセンスと言えよう。





坂井 陽介
執筆者:坂井 陽介グッドフェローズグループCEO
一人社長アドバイザー/経営コンサルタント/ファイナンシャルプランナー

1974年生まれ。大学卒業後、予備校講師を経て25歳でアリコジャパン(現メットライフ生命)の保険代理店を開業。1年目より優績代理店として評価を得る。27歳で事業拡大を目指し学習塾を買収。杜撰な事業計画のため半年で学習塾を閉鎖。この時の負債総額は約3000万円にのぼり、保険代理店事業を二束三文で売却。その後、売却先の保険代理店や不動産仲介会社に勤務し5年で債務を返済。
現在は「一人社長アドバイザー」としてこれまでの成功と失敗に基づき、独立間もない一人ないし少人数で経営する企業・団体のための開業準備支援、事業運営に関する助言、事業計画に関するコンサルティング、経営者専門のファイナンシャルプランナーとして事業計画に沿ったファイナンシャルプランニング等を5年で計260件以上携わる。
趣味は酒宴に参加すること。

【ホームページ】
http://www.g-fellows.biz