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1UPコラム

サラリーマン・会社員が知っておきたい還付申告(所得税還付)手続き 2017/01/20

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サラリーマン・会社員が知っておきたい還付申告(所得税還付)手続き


還付申告とは

今回は、還付申告の概要について、お話しします。
通常、会社員の方は確定申告の義務はありません(他の収入がない場合)が、
医療費控除など、確定申告をすれば、会社で天引きされた所得税の一部が還付になる場合があります。この申告を還付申告といいます。
会社員は、毎月の給料から、所得税を源泉徴収(天引き)されています。年末に、1年間の給与・賞与に対する所得税額を再計算し(生命保険料の所得控除、扶養控除の見直しなど)、天引きされた税額が多かった場合は、超過分を還付、逆の場合は徴収されます。
この手続きを「年末調整」といい、その会社以外からの収入がなければ、その年の所得税は、年末調整で確定し、精算が完結します。なので、確定申告の必要はありません(給与収入が年2000万円以上の方は確定申告の義務があります)。
ですが、例えば、H28年中に多額の医療費を支出した場合、マイホームを借入金で取得した初年度など、一定の場合には、確定申告をすることで、所得税の還付を受けることができます。
国税庁HP「(左側)タックスアンサー→所得税→給与所得者と還付申告No.2030還付申告」に、還付申告ができる具体例がありますので、参考にしていただきたいと思います。


還付申告できる期間や、用紙の入手方法

還付申告は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1/1から5年間提出することができます。前回、セルフメディケーション税制の申告期間は、2/16-3/15とお話ししましたが還付申告であれば、翌年(H30年)1/1から申告できると思いますので、説明を追加致します。
用紙は、確定申告書になります。税務署に用紙があり、もらうことができます。どの税務署でも用紙は共通です。様式はAとBがありますが、会社員で会社からの収入のみの人が還付を受ける場合は、A様式になります。
なお、用紙を入手しなくても、国税庁のHP「H28年分確定申告特集」から入力することも可能です。


マイナンバー

上記HP特集の最初に、「重要なお知らせ」として、マイナンバーに関するお知らせがあるので、必ずお読みください。電子申告をする場合は、マイナンバーカードが、税務署へ持参する場合はマイナンバー及び本人確認書類が必要になります。


提出税務署

住所地の管轄税務署に提出先します。管轄を探す場合は、国税庁HP左下の「国税局、税務署を調べる」をクリックして下さい。
例えば、「関東信越国税局」をクリックすると、所轄の県名があります。(茨城、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野県)。さらにお住いの都道府県をクリックすると、右側に管轄地域があり、左側に税務署名があるので、提出する税務署を探すことができます。
なお、東京国税局の管轄地域は、東京都、千葉、神奈川、山梨県になります。


申告書の書き方や、添付書類

国税庁HPの、「H28確定申告特集」や、「確定申告書等作成コーナー」で手順通り入力して作成することもできますし、(管轄の)税務署へ行って教えてもらうこともできます。確定申告期間は込み合うので、その期間を外して行けば、丁寧に教えてくれます。
申告書は第1表と第2表がありますが、注意事項としては、
第1表・・・還付口座を書く欄が右下にありますので、そちらにご自身の口座名と番号を記入して下さい(本人口座です)。
第2表・・・左下に住民税の欄がありますので、「給与から差引」にチェックを入れてください。
確定申告書の用紙の右上に第1表、第2表と縦書きで書いてあります。

申告書に添付する書類は、①源泉徴収票②医療費の場合は、医療費の領収書(H28年に支払った分支払先ごとに集計を取って下さい。)、住宅取得特別控除の場合は、土地建物の登記事項証明書(原本)や借入金年末残高証明書(原本)など③マイナンバー関係書類(提示のみ)になります。添付書類は税務署へ渡してしまうので、控えがあった方が良い方は、あらかじめコピーをお願いします。
住宅取得の場合は、HP「住宅借入金等特別控除を受けられる方へ」の手引き11ページ以降に必要書類が記載されているので、ご覧ください。添付漏れがあると、出直すことになったりと、面倒です。


還付金が振り込まれるまでの日数

おおむね、1~2ケ月かかります。電子申告の場合は、3週間程度といわれています(国税庁HP)が、実際は提出時期により、異なります。
国税庁HPの「確定申告期に多いお問い合わせ事項Q&A-税金の還付」のコーナーに、詳細があります。還付金受取りまでの期間、インターネット専用銀行の口座への振り込みが可能かどうか?などのQ&Aがありますので、参考にして下さい。


更正の請求との違い

同じく、所得税の還付手続きで、「更正の請求」という制度がありますが、これは確定申告をした人が、その後、間違いなどに気が付いて、還付請求をする時に使用します。
確定申告をしていない年分について、還付請求をする場合は、「還付申告」になりますのでご留意いただきたいと思います。



※本記述は税務に関する取り扱いについて簡潔に要約したものであり、記載内容の正確性、完全性を保証するものではありません。また当記事執筆時点(2017年1月)と、内容が異なっている場合もあります。税務における詳細な規定や取り扱いについては、専門家に相談されることをお勧めします。本サイトは利用者が被ったいかなる損害について一切の責任および義務を負いません。






寺崎 直子
執筆者:寺崎 直子寺崎法律会計事務所 代表 , 東京都 千代田区麹町
昭和63年3月に損害保険会社を退職後、結婚。
平成元年に税理士事務所へパートとして勤務のかたわら、税理士試験の勉強を始める。
平成4年に、最終合格し、平成11年、先代の引退に伴い、お客様を一部引継いで独立開業して、現在に至る。
平成30年2月に認定経営革新等支援機関登録(認定支援機関は、経営をサポートする経済産業省認定の専門的な機関です。助成金や税制上の恩典を企業が受けられるようにアドバイスをすることができます)。

業務内容は、税金の計算ですが、その前には、地道な経理作業がかかせません。経理作業の中で、お客様の相談を受け、税金面でのアドバイスをすることも多くあります。
税務を通じて、長いお付き合いになることも多く、(人生でも!)勉強になっています。
お客様の考え方、人となりを知ることが、税金の計算において、とても大事だということは、この仕事をしていく中で、初めて知りました。
試験勉強をしたときは、計算だけが重要だと思っていましたが・・・・
それが面白さでもあり、また、大変なところでもあります。

主人との2人暮らし。趣味だった、バードウォッチングの影響もあり、おしゃべりインコ(ヨウム)を飼っています。 出勤するときは、「いってらっしゃい」というので、とても可愛いです。
(かまってあげないと言いませんが・・)
運動不足の解消にと、フラダンスを始めて、その面白さ、難しさにハマりつつあります。何でもコツコツ練習するのが大事ですね。

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