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生命保険の活用について(法人保険)2018/08/21

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生命保険の活用について(法人保険)


 会社が生命保険料を支払った場合の経理処理は保険商品によって異なります。万が一の備えの他に、節税や、資金繰りに役立つ場合もあります。
  

決算書には「支払保険料」又は「保険積立金」として表示される

 支払った生命保険料は、「支払保険料」又は「保険積立金」の科目になります。
「支払保険料」は、損益計算書(PLともいいます)の中の「販売管理費」明細に、また、「保険積立金」は、貸借対照表(BSともいいます)の資産の部に計上します。
(以下、「支払保険料」=「PL科目」また、「保険積立金」=「BS科目」と言います)

「PL科目」は利益が減少するので、支払時の節税効果が期待できます。一方、「BS科目」は、利益には関係ないので、支払った時の節税にはなりませんが、解約した時も利益が余り出ない(納税が少ない)という点に特徴があります。(BSとPLの関係については、決算書の見方①をご参照下さい)

経理処理は保険会社が教えてくれる

 一概には言えませんが、養老保険は全額「BS科目」、長期平準定期保険は、「PL科目」と「BS科目」に50%ずつ計上、また医療保険は全額「PL科目」が多いです。
経理処理は、法人税通達で定められていますが、複雑なので、通常、生命保険会社に教えてもらいます。
   

全額PL科目の方が、納税は有利!ただし、解約は赤字決算の時に!

 毎年20万円の保険料を支払い、5年後に解約して、返戻金=80万円の場合、を例として考えてみたいと思います(実際の返戻金は解約時のタイミング、商品によって異なります)。

[1].全額「BS科目」処理の場合

1.支払ったとき
 「BS科目」20万円(毎年)×5年=100万円(5年後)になります。
経費にならないので、支払時の節税にはなりません。

2.解約したとき 
 解約した場合は、「BS科目」を0にします。
100万円積立て、80万円しか戻ってこなければ、20万円の損失です。
節税額は20万円×30%=6万円(実効税率30%として)となります。
20万円の解約損で、節税額が6万円だと、節税効果はありませんが、解約時に差益が発生せず、利益が出にくいので、急に資金が必要になったときに、納税額を考慮しないで解約できる良さがあります。
  
3/想定される目的
 代表者が退職金の原資として入るケースもあります。
預金とは別枠で、安心を積み立てておく、という考え方でしょうか。
 

[2].50%ずつ「PL科目」と「BS科目」

1.支払ったとき 
 「BS科目」20万円×50%×5年=50万円(5年後累計)になります。
「PL科目」は10万円(/年)、節税額は、年3万円(10万×0.3)、5年で15万円です。

2.解約したとき 
 「BS科目」を0にします。積立金額は50万円なので、経理上は80万-50万=
30万円が利益になり、30%=9万円の税金が発生します。
節税額 15万-9万円-解約差損20万円=14万円(損)ですが、解約したときに赤字(又は繰越欠損金がある)であれば、差益は赤字と相殺され、赤字の方が多ければ、納税額9万円はなしになります。
その場合は、5年間の節税額=15万円、戻ってこない支払保険料20万円となり、差引き5万円の支払損になります。

3.想定される目的
 社員の退職金支払を目的として加入することがお勧めです。
退職金の支払で、急に資金が必要になる場合もあります。保険料は、毎月定額払いなので、資金繰りの目安が立てられます。

[3].全額「PL科目」の場合

1.支払ったとき 
 20万円×30%=6万円(/年)の節税となり、5年で30万円の節税です。

2.解約したとき 
 返戻金80万円の全額が利益です。80万円×30%=24万円の税金が発生しますが、解約事業年度に赤字(又は繰越欠損金がある)の方が多ければ、納税額は0円です。
その場合は節税額=30万円、戻ってこない支払保険料20万円=差引き10万円の得です。
 
3.想定される目的
 赤字の時に、解約をすると、赤字も解消され、かつ節税もできます。
また、医療保険などは、給付事由が発生した際に給付金を受けることができます。

解約返戻率に注意

 以上、経理処理と納税額の違いについてご説明してきました。
なお、最近の保険は種類も多く、中には途中で解約しなければ、解約返戻率が大きく下がってしまう商品もあります。
返戻率が高いときに解約したほうが、得ですが、その時に多額の納税が発生するのは、避けたいところです。
返戻率と、会社の利益の両方を踏まえて解約のタイミングを考えたいところです。

税務通達の改正が多いですが、遡及適用はあまりありません

 保険の経理処理については、節税商品に対応して税務通達が改正されることがあります。ただ、改正前に契約された保険については、以前の処理が認められています(今のところ)ので、その点についてはご安心ください。
   

配当金の計上も忘れずに!

 配当金がある保険は解約時に返戻金と一緒に入金になることが多いですが、一方、税務上は配当が確定したときに利益を計上しなければならないので、注意が必要です。
決算の時に、保険会社へ決算用の資料を請求されることをお勧めします。

最後に

 会社の財務状況、売上の状況は、会社によって様々です。
会社の長期見通しを考え、また、専門家のアドバイスを受けながら、保険契約をする際の参考にして頂ければ幸いです。






寺崎 直子
執筆者:寺崎 直子寺崎法律会計事務所 代表 , 東京都 千代田区麹町
昭和63年3月に損害保険会社を退職後、結婚。
平成元年に税理士事務所へパートとして勤務のかたわら、税理士試験の勉強を始める。
平成4年に、最終合格し、平成11年、先代の引退に伴い、お客様を一部引継いで独立開業して、現在に至る。
平成30年2月に認定経営革新等支援機関登録(認定支援機関は、経営をサポートする経済産業省認定の専門的な機関です。助成金や税制上の恩典を企業が受けられるようにアドバイスをすることができます)。

業務内容は、税金の計算ですが、その前には、地道な経理作業がかかせません。経理作業の中で、お客様の相談を受け、税金面でのアドバイスをすることも多くあります。
税務を通じて、長いお付き合いになることも多く、(人生でも!)勉強になっています。
お客様の考え方、人となりを知ることが、税金の計算において、とても大事だということは、この仕事をしていく中で、初めて知りました。
試験勉強をしたときは、計算だけが重要だと思っていましたが・・・・
それが面白さでもあり、また、大変なところでもあります。

主人との2人暮らし。趣味だった、バードウォッチングの影響もあり、おしゃべりインコ(ヨウム)を飼っています。 出勤するときは、「いってらっしゃい」というので、とても可愛いです。
(かまってあげないと言いませんが・・)
運動不足の解消にと、フラダンスを始めて、その面白さ、難しさにハマりつつあります。何でもコツコツ練習するのが大事ですね。