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初めての商標登録「まずやるべきことは、他社の商標調査」2018/04/20

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初めての商標登録「まずやるべきことは、他社の商標調査」


(1)商標調査の必要性

 会社、又は個人事業主の方が、世の中に貢献することができる商品・サービスを開発した場合、その商品・サービスにマッチしたネーミングやロゴを考え出すでしょう。また、新しく設立した事業部についても、その事業部にふさわしいネーミングを行うでしょう。そして、新たに開発した商品・サービスを市場に浸透させるために、考え出したネーミングやロゴを全面に押し出して、自社の商品・サービスをアピールするでしょう。

 しかし、ネーミング・ロゴ考え出す際に、必ずやっておかなければならないことがあります。それは、他社の商標調査です。
 自社、或いは自分の商品・サービス、事業部で使用したいと考えているネーミングが、既に他の会社に商標登録されていた場合、そのネーミングが使えません。
 仮に、他社の登録商標を使用した場合、差止請求、損害賠償請求、信用回復請求などの法的な請求がなされるおそれがあります。ここで、怖い点は、差止請求において、単に、「商標の使用を中止しなさい」という請求だけでなく、商標を付した商品の廃棄、生産設備の除却まで請求することができることです。
 こうした事態に陥らないためにも、新たな商品・サービスを開発し、その商品・サービスにネーミングをする前に、他社の商標を調査することが必要です。


(2)商標調査について

 では、他社の登録商標はどのようにして調査したらよいのでしょうか。商標調査は、調査会社に頼むことなく、ご自分で行うことが可能です。

 特許情報プラットフォームは、誰でも無料で、商標を検索することができます。考え出したネーミングやロゴを使用する前に、このサイトでこれらか自社で使用を予定しているネーミングやロゴと同じか似ている商標を検索することを強くお勧めします。

〇特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

 商標権の効力は、登録商標と同一の商標の商標だけに及ぶに止まらず、登録商標と類似する商標にまで及びます。そのため、商標を検索する場合には、自己が使用としている商標と同一の商標に加え、類似する商標も検索することが必要です。同じ商標又は似ている商標が既に登録されていた場合、ネーミングやロゴを変更し、他社の商標権に抵触することを回避することが必要です。


(3)指定商品・指定役務について

 登録商標は、ネーミングやロゴだけを特定して登録される訳ではございません。登録商標は、商標をどんな商品・役務(サービス)に対して使用するのかまで特定されています。

例えば、ある人が「たこ焼き屋」を開業しようとし、そのお店の名前として「ABC」という商標を使用としている場合
  
商  標:「ABC」
指定役務:商品・役務区分:第43類:「たこ焼きを主とした飲食物の提供」

として商標が登録されるわけです。

先程は、商標には類似するものにまで商標権の効力が及ぶと申し上げました。この点は、商品・役務に就いても同様です。

商  標:「ABC」
指定役務:商品・役務区分:第43類:「たこ焼きを主とした飲食物の提供」

という登録商標が存在するにもかかわらず、

商  標:「ABC」
(1)指定役務:商品・役務区分:第43類:「たこ焼きを主とした飲食物の提供」、
(2)指定役務:商品・役務区分:第43類:「お好み焼きの提供」

は、登録商標に抵触してしまいます。

(1)の「たこ焼きを主とした飲食物の提供」は、登録商標そのものズバリなので、第3社の使用が法的に禁止されます。
(2)の「お好み焼きの提供」は、登録商標の内容そのものズバリではありませんが、指定役務に類似するものであるため、出所の混同が生じるおそれがあるため、使用が法的に禁止される事例です。

以上のように、これから新たな商品・サービスを世に送り出そうとしている場合、商品・サービスのネーミング・ロゴが、他社によって、商標が既に取られていないかを調査することは、極めて重要です。

 調査には、ある程度専門性が必要になります。そのため、詳細な調査が必要な場合には、知的財産に強い弁護士や弁理士に、調査を依頼すること1つの手です。

 事業主の皆様、どうか、事業の初期段階で大きな痛手を負わないように、万端な準備を行って下さい!





松野 雅弘
執筆者:松野 雅弘弁理士/MTI特許事務所 , 東京都
MTI特許事務所パートナー弁理士

現在、特許出願や商標出願等の業務に携わる傍ら、首都大学東京ビジネススクールにて企業経営について学んでいる。
大学では機械工学を専攻し、1989年に大学を卒業。大学卒業後は、建設機械メーカーで品質管理、品質保証の業務に7年半従事。その後、都内の特許事務所に転職し、特許出願や商標登録出願の業務に携わる。
当時から特許出願や商標登録出願前には、クライアントにとって有意義な権利を取得すべく、クライアントが行った発明や商標について入念な打ち合わせを行うことを心がけている。
2007年~2009年の2年間、法科大学院で法律を学び、その成果を活かし、現在では、紛争にも耐えることができる強い権利を成立させることに気配りすることや、紛争が生じないようにクライアントにアドバイスをしている。