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「下町ロケット」に学ぶ知的財産の活用法2017/03/16

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「下町ロケット」に学ぶ知的財産の活用法


「下町ロケット」のあらすじ(一部抜粋)

 中小企業・佃製作所の社長・佃航平は、大企業の帝国重工の宇宙航空部長・財前の訪問を受け、佃製作所が持っている特許を20億円で譲ってくれと持ちかけられる。帝国重工は巨額の資金を投じて新型水素エンジンを開発したが、特許は佃製作所に先を越されていた。航平は、特許譲渡や使用許可ではなく、帝国重工が飛ばすロケットに佃製作所で作った部品を搭載する道もあると思い当たる。しかし、それでは特許使用料が入らないどころか、リスクが高過ぎると、特に若手社員の反応は最悪で、特許使用許可か部品搭載の夢か、航平は思い悩む。
 一方、部品供給を断るつもりで佃製作所を訪れた財前は、航平に案内されるままに工場を見学し、その技術の高さに部品受け入れもありうると考えるようになる。そんな財前を出し抜きたい富山は水原本部長に取り入り、財前に変わって部品供給のテスト担当者になる。そして、町工場の部品を見下す富山が率いる帝国重工による部品テストが始まった。
 最終的に、帝国重工は、佃製作所のバルブ使用をすることに決めた。


知的財産とは

 そもそも、知的財産とは、特許権(発明・アイディア)、実用新案権(簡易発明・アイディア)、意匠権(デザイン)、商標権(ブランド)、著作権(創作物)といった権利を含む、人が創造したモノのことです。ノウハウや営業秘密も含まれます。


知的財産活用のポイント

 物語の中で帝国重工が佃製作所のバルブの使用を決めたポイントは、ただ技術力があるだけではないと思います。特許権を有し、かつ技術ノウハウを有していたことが評価されたのではないでしょうか。具体的には、以下のポイントが考えられます。

・佃製作所が有利な特許を取得していたことから、帝国重工との交渉が始められた(特許権の効力は強い)。
・佃製作所が特許を取得していたから、名前の知られていない佃製作所のことを帝国重工が知ることができた。つまり、佃製作所が特許を取得していなければ、素晴らしい発明であっても、ただの「趣味」として誰にも知られず、埋もれた技術となる。
・佃製作所は、特許のみならず、その特許製品を作る過程でのノウハウを有しているため、精度の高い製品の作製が可能であって、そのノウハウは、機械で再現ができない手作業である。


知的財産は権利だけじゃない

 このように、特許権という権利のみならず、どの企業にも存在する、目に見えない技術(ノウハウ)が大切だということが分かると思います。特許権取得というのはあくまで一つの手段であって、それを如何に活用するのか、如何に自社のノウハウと絡めていくのか、というように、権利化後を見据えた権利取得が必要なのです。

 日本のモノづくりは世界でも評価されています。しかしながら、「技術で勝ってビジネスで負ける」といわれていますが、「技術で勝って、ビジネスでも勝てる」ようになるために、特許やノウハウなどの知的財産を経営に活かしてみては如何でしょうか。





吉田 浩子
執筆者:吉田 浩子
埼玉県出身。
高校卒業後、自衛隊に入隊と同時に大学に入学。昼間は自衛官をしつつ、夜間で大学に通う。自衛隊退職後、大学を卒業して、地方の中小企業のメーカーに入社。工場向けの設備製品の設計開発に携る。その後、特許事務所にて特許の権利化業務に携わる。
これまでの経験を活かし、特許で収入を得る(売り上げを上げる)ための個人・中小企業向けの知財コンサルティングを行う。
ホームページ:http://seieisha.jp