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ビジネスは「5W2Hと報・連・相」 2015/05/14

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ビジネスは「5W2Hと報・連・相」


その昔、学校で習ったのは「5W1H」じゃなかったっけ?
と思った方もいるかと思うが、ビジネスではもう一つ「H」が必要になる。しかも、このもう一つの「H」がビジネスの命そのものなのだ。

「5W1H」とは、Who(誰が・誰に)、When(いつ)、Where(どこで・どこに・どこへ)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どうやって)の頭文字を数で表していることはご存知であろう。

ビジネスにおけるもう一つの「H」とはHow much(いくらで・いくらの)を指す。
これがなければボランティアに過ぎない。

一方、報・連・相(報告・連絡・相談)もビジネスマンなら社会人1年目に学ぶ超基本事項。しかし年齢や立場が変わっていくと気づかぬうちにできなくなっていることも多々ある。

ある福祉系の一般社団法人のミーティングに参加させていただいた時のこと。看護師や社会福祉士・作業療法士・理学療法士・セラピストなど福祉業界に携わる専門家が横断的に関わって介護ビジネスを展開していく団体の理事(=役員)のミーティング。それぞれがそれぞれの分野の専門家、つまりスペシャリストなのだが、分野を問わず横断的に事業に関わっていくために、この団体の代表が理事やスタッフに求める姿勢はゼネラリスト。

ある一人の理事がどうしても自分の専門分野にこだわりすぎて横断的どころか、情報共有もままならない。そんな理事に代表から一つの問いが。

「5W2Hって何だっけ?」と。

この理事は5W1Hは分かっていたが、最後の「H」が分からない。
分からないことを自ら認めることができず、「分かりません」の一言がなかなか言えずにいると、周囲から普段の報・連・相の少なさをとがめる声が上がり始め、次第に集中砲火を浴びる事態に。

スペシャリストであるが故のこだわりとプライド、これらが報・連・相を怠り自己完結させてしまう理由。これでは個人でもグループでもビジネスはできない。またスペシャリストにありがちな採算無視。だからこの理事はもう一つの「H」(How much)を思い出せなかったのかもしれない。
また、代表が理事やスタッフにゼネラリストであることを求める理由がここにある、と思えた。

起業家の中で失敗する典型がスペシャリストのままの独立。自分の専門領域で勝負することは決して間違ってはいないが、経営者としてのスキルを持たずに独立した結果、専門領域外の事務処理や営業に必要以上に時間や資金を投下して失敗に陥るのだ。

経営者として広い視野を持ち続けるため、俯瞰で「5W2H」を通して業務を一つずつ見つめ、報・連・相で情報を共有することがビジネスに不可欠であることを再認識させてくれたミーティングだった。





坂井 陽介
執筆者:坂井 陽介グッドフェローズグループCEO
一人社長アドバイザー/経営コンサルタント/ファイナンシャルプランナー

1974年生まれ。大学卒業後、予備校講師を経て25歳でアリコジャパン(現メットライフ生命)の保険代理店を開業。1年目より優績代理店として評価を得る。27歳で事業拡大を目指し学習塾を買収。杜撰な事業計画のため半年で学習塾を閉鎖。この時の負債総額は約3000万円にのぼり、保険代理店事業を二束三文で売却。その後、売却先の保険代理店や不動産仲介会社に勤務し5年で債務を返済。
現在は「一人社長アドバイザー」としてこれまでの成功と失敗に基づき、独立間もない一人ないし少人数で経営する企業・団体のための開業準備支援、事業運営に関する助言、事業計画に関するコンサルティング、経営者専門のファイナンシャルプランナーとして事業計画に沿ったファイナンシャルプランニング等を5年で計260件以上携わる。
趣味は酒宴に参加すること。

【ホームページ】
http://www.g-fellows.biz

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